高血圧症患者の90%以上は明確な原因が分からない
高血圧症は原因により「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分けられます。
高血圧症患者の90%以上は明確な原因が分からない「本態性高血圧」です。
「本態性高血圧」の発症には、遺伝的要因と環境要因が関わっていて、生活習慣病の一つにあげられています。
遺伝的要因による高血圧は仕方ないとして、環境要因による高血圧は、食塩の摂取過多、加齢による血管の老化、ストレス、運動不足、肥満、喫煙などの生活習慣を改善することによって症状も改善されることが多いのです。
実は合併症が怖い高血圧
初期の高血圧の症状というのは無症状であることが多く、合併症を併発して高血圧に気付く方もいます。
合併症には脳血管障害、心疾患、腎疾患、血管障害、重症高血圧性網膜症など命の危険に関わる大きな病気があります。
合併症を防ぐためにも初期のうちに気付き、生活習慣を改善していく必要があります。
初期段階であれば、次の生活習慣の改善が有効的です。
- 食塩制限6g/日未満
- 野菜・果物の積極的摂取
- 適正体重の維持:BMI25を超えない
- 運動療法:心血管病のない高血圧患者が対象で、有酸素運動を毎日30分以上行う
- アルコール制限:一日20-30g以下(男性)10-20g以下(女性)
- 禁煙
適正体重の計算方法は?
ここでは、適正体重についてご説明します。BMIはご存知でしょうか?
近年は健康診断でも肥満の基準として計算することも増えたと思いますが、改めて計算方法をお教えします。
BMI(ボディ・マス・インデックス)=体重kg÷身長m÷身長m=20~25が適正
25よりも大きくなった方は肥満と判断されてしまい、肥満の方は標準体重の方に比べて高血圧になるリスクが高まるので生活習慣の改善によって標準体重にしなければなりません。
食事を減らすよりも運動療法が効果的
ここで注意して欲しいのが、食事量を減らして体重が減った場合です。
食事量を減らすと筋肉量も一緒に落ちてしまうので、転倒による骨折や腰痛などのケガにつながり、また基礎代謝も減るので体力や免疫力も落ちてしまいます。
ですから、食事量を適正にして、さらに脂肪を減らすための有酸素運動が必要となります。
有酸素運動は十分に酸素を取り込みながら行う運動で、ウォーキングやサイクリング、水泳、ジョギングなどがあげられます。
どれも楽しく出来る範囲で毎日30分以上続けることが理想ですので頑張ってみましょう。
運動療法を行いながら食事療法を行うのが高血圧改善につながりますので、次に食事の基本をお教えします。
高血圧の人の為の食事の基本
高血圧の予防・改善のための食事療法は一言で言うと「栄養バランス良く、食塩の摂取を抑え、食べすぎないこと」です。
近年、和食はヘルシーな料理だと言われていますが、実は塩分がとても多いので、毎日和食だけでなく洋食も取り入れてみてください。
たんぱく質を多く含む食べ物は、卵・大豆製品・牛乳・魚などがありますが、高血圧の予防や改善に効果がある成分として、DHAやEPAが多く含まれます。
DHAやEPAは血管壁を柔らかくする働きがあり、血管を拡張することで血圧を下げることができます。
また、納豆には血液の粘度を下げる効果があるので毎日摂りたい食品です。
もちろん野菜や果物は、食物繊維・ビタミン・カリウムが豊富ですので毎日色々な種類を食べることが大切です。
栄養バランスの良い食事を取り入れながら食塩制限をし、良く噛んで腹八分目に抑えることで、肥満解消、高血圧の改善につながっていきます。
高血圧は家族内で発生することが多いと言われています。
その理由は遺伝的要因に加えて環境要因である生活習慣が同じだからです。
例えば、濃い味付けが好きで、運動も嫌い…という方が一人でもいると家族全員が高血圧になりやすい体質になってしまうということです。
ですので、食事療法も運動療法も家族一丸となって取り組み、生活習慣の改善が出来ると良いですね。
(ライター:栄養士ハム子)